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京都市北区の平野神社、北野天満宮に行ってきた。桜を見るためである。平野神社は古来桜の名所であった。「魁(さきがけ)」「平野妹背」「手弱女」「平野匂」「平野撫子」「突羽根」「胡蝶」など、この神社が発祥とされる桜がいくつもある。魁は早咲きの枝垂桜で、もう花の時期は終わっていたが、京都に春の到来を告げる華やかな桜であり、この桜が咲くとそろそろ底冷えのする古都にも春の足音が響いてくるような気がするのである。
突羽根(つくばね)という名前の桜は、私がこれまでに訪れたときにはまだ咲いていなかったこともあって、どんな花なのか興味はありながら、実物を見たことはなかった。今回、咲きはじめた突羽根を初めて見ることができた。この桜はいわゆる菊桜の仲間で、花弁が非常に多く、また、開花の時期が非常に遅いのが特徴である。葉が先に開いて、それから蕾が開いてゆく。平野神社の固有種だというが、菊桜が京都に自生しているのは非常に珍しい。どこかから献納されたものであろうか。
菊桜の仲間は、その代表的なものがあまりにも有名な石川県金沢市の「兼六園菊桜」である。北陸地方、とくに能登半島一帯にはこの菊桜が多く分布している。能登半島の西側が中心で、半島の東側の根元にあたる富山県側にはほとんど自生していないのが不思議である。能登半島のほかには、海を越えて佐渡島、そこから大きく弧を描くように新潟県下越地方(五泉市から新発田市、胎内市周辺)に及んでいる。そのような特殊な分布をしている菊桜の仲間が京都市内にぽつんと残っているというのが興味深い。
北野天満宮の社務所の前には、「北野桜(きたのざくら)」と呼ばれる桜が1本ある。案内板が立てられていて、樹齢120年で、北野天満宮のご神木であると書かれている。霞桜の系統らしく、遅咲きで、花も小さめである。咲きはじめの花は白色だが、だんだん赤みを帯びてゆき、桃色になる。葉柄が3本出ているのも特徴か。北野天満宮と住友林業とが2016年に調査して、霞桜の系統であるが住友林業の保有している霞桜のDNA型とは一致しないので新種だといってもいいだろうということになったらしい。ちなみにこの桜の名前は農水省には登録されていないという。
霞桜そのものは近畿地方の山にも自生しているので、私たちも目にしているはずである。染井吉野や山桜が終わってしまったあと、遠くの山の中に桜が咲いているのを見つけることがあるが、それがおそらく霞桜であろう。そういう桜の1つがとくにすぐれた花の形をしていたので北野天満宮に献上されたのかもしれない。京都市内の多くの桜が終わったあとに静かに盛りを迎える上品な桜である。
そのときの写真はこちら
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by 大谷 ¦ 16:34, Tuesday, May 03, 2022 ¦ 固定リンク
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