← |
2021年1月 |
→ |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
|
|
|
|
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
28 |
29 |
30 |
31 |
|
|
|
|
|
|
|
歌人松村正直氏が、古代以来の鯨の歌を調べてエッセイを書いたそうだが、誰かに短歌のデータベースがあれば簡単に調べられると言われたことについて違和感を感じたらしい。単語を検索してそれで目的の短歌が抽出されるとしてもそれはどうだろうかという思いがあるらしい。
良い歌を見つけるという点からすれば、歌集をじっくりと読みこむのがいちばんいいのだろうと思う。データベースに収録されている作品から検索でパッと抽出できてしまうことと、その作品の評価とはまた異なるはずである。
しかし、私が自分で作成しているデータベースの場合、作品の収録作業中にじっくりと歌集を読みこんでいる。作品に用いられている文字そのものについてもできるだけ原典に忠実に収録することを心がけてきた。漢字の字体そのものについても同様である。そのような作業をすること自体が作品の研究そのものであるということもできるだろう。データベースから検索・抽出された作品の評価はそれからはじまる。
松村氏が感じたように、誰かが作成して既に存在しているデータベースを利用するだけの場合は、私も違和感が生じる。しかし、短歌のデータベースは今のところ公開されたものはほとんど存在していない。昔、岩波書店から『現代短歌辞典』が刊行されたとき、辞典に収録された作品やその執筆時に収集された作品をまとめてデジタル化してはどうかと提案したことがあったが、けっきょく実現しなかった。出版界で実現しないのならば私個人でやってみようと気持ちがそのころから湧いてきて、約20年間かけてコツコツ作り上げてきたのが今の短歌データベースである。ある日突然目の前にこのデータベースが現れたなら、あれこれ検索・抽出して、ああでもないこうでもないと批評がはじまるかもしれない。しかし、検索して抽出された作品だけを眺めてもあまり深まらないだろう。元のデータベース全体を眺めてきたからこそできることがあるはずで、私はそこを追求していきたい。
|
■トラックバック
この記事へのトラックバックURL:
http://www.marebito.jp/blog/001/blog.cgi/20210111180626
■コメント
■コメントを書く
|
|