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 岐阜県白川村の本覚寺にある桜。岐阜県指定の天然記念物。

 菊桜の仲間で、日本でもっとも遅く開花する桜の1つ。菊桜の仲間は、石川県に多く分布していて、 能登半島にとくに多い。そこから海を隔てた佐渡島、そして新潟県の下越地方にわたって広く分布している。

 能登半島の内海側にあたる富山県にはほとんど分布しておらず、そのすこし南に位置する白川村で この太田桜が発見されたことは驚きである。

 例年であれば、この桜が開花するのは5月の連休が終わるころで、白川村にはまだまだ雪が たくさん残っている時期である。

 本覚寺の境内の隅にこの桜がある。主幹は朽ちてしまったようで、数本の株が育っている。 見た目はふつうの菊桜と変わらない。有名な金沢市の兼六園菊桜とおなじように、葉が開いて から花が咲く感じである。花弁数も兼六園菊桜とおなじくらいだが、咲きはじめから兼六園菊桜は やや白っぽく見えるが、太田桜はそれに比べるとやや赤みが強いと感じる。

 1969年(昭和44年)、この地を訪れた植物画家の太田洋愛が、境内に咲くこの桜を見て珍しい 品種だということで、東京の植物学者大井次三郎氏らに鑑定してもらったそうである。 地元では「塩釜桜」と称していた由。

 この桜は、太田洋愛の弟子の杉崎紀世彦氏により山形県にも移植されている。寒冷地なので、 山形県での開花も例年5月中旬になるとのこと。5月20日を過ぎても咲いていた年があったという。